1985年ごろから「メディカルフィットネス」という言葉が使われるようになりました。
医療とフィットネスの融合は既に始まっています。
しかし、これからの医療とフィットネスはどうなっていくのでしょうか?
本日は、医療とフィットネスの融合について考えてみたいと思います。
メディカルフィットネスとは?
メディカルフィットネスとは、医療的要素を取り入れたフィットネスのことを指します。
私も初めてこの言葉を聞いた時は、「病院などの医療機関が運営しているフィットネスクラブ」ということなのかな?と思っていましたが、一応、定義があります。
それは、
狭義では、医療機関が運営するフィットネス
広義では、医療的要素を取り入れたフィットネス
ということです。
しかし、実際のメディカルフィットネスでは、 提供するサービスとして「リハビリ」「介護ケア・介護予防」「生活習慣病改善」「メタボ・ロコモ予防」「一般、健康維持・増進」「アスリート強化、パフォーマンス向上」と非常に幅広い分野に及びますので、傍から見ると普通のフィットネスクラブとの違いはほとんどの人が分かりません。
私は、フィットネスクラブとメディカルフィットネス の違いは明瞭にした方がお客様にとってだけでなく、運営側にとってもメリットがあると考えます。
メディカルフィットネスは何故今後もニーズが高まるのか?
- 運動習慣の見直しと健康志向の高まり
コロナが第五類に移行した後もコロナは蔓延しています。
インフルエンザの蔓延も止まることがありません。
コロナをきっかけに運動をする人が大幅に減り、数年後は運動不足による重篤な健康被害が日本中を襲うことが予測されます。
「やっぱり運動は大切」と見直す人も増える一方で医療費の高騰により、予防医療の重要性が高まることが予測されます。
このような観点から、フィットネスと医療の融合によるメディカルフィットネスが、健康増進や予防医療に貢献できると考えられます。
- 医療技術の進歩
医療技術の進歩により、運動が様々な疾患の予防改善に有効だということが科学的に証明されるようになってきました。
生活習慣病は昔、運動不足病と言われていました。
運動をしていればなることはない、なったとしても改善することが出来る病が多数あります。
糖尿病や心疾患や脳疾患だけでなく、癌や精神的な病などにも運動が非常に効果的であることが証明されています。
また、高齢者の介護予防などにも効果があることが示されています。
私個人的には、40歳を過ぎたら介護予防としての運動を始めるべきだと思っています。
人生100年時代の今、「それは早すぎる」と思われる方が多いと思いますが、歳を取ってから運動を始めることも生活習慣を変えることも考え方を変えることも非常に難しいことです。
元気で長生きしたい、介護を受けたくないのであれば、40代から定期的な運動をすべきだと思います。
- 経済的メリット
フィットネスクラブと医療の融合により、様々な経済的メリットが期待できると考えます。
1.医療費の削減
2.健康寿命の延伸
3.労働生産性の向上
4.納税者の増加
冒頭に書いたように実際には、既にフィットネスクラブと医療の融合は、すでに始まっています。
実際にフィットネスクラブが医療との融合をどのように取り組んでいるか
- 医療機関とフィットネスクラブの連携
医療機関とフィットネスクラブが連携して、運動療法のプログラムを提供しています。
例で言えば、医療機関で運動療法の指導を受けている患者さんが、フィットネスクラブに行き、インストラクターは医師の指示のもと運動指導を行なうといったものになります。
- フィットネスクラブによる医療機器の導入
フィットネスクラブで、医療機関で使用されている医療機器を導入しているところもあります。
何十年も前から存在していますが、血圧や心拍数を測定する機器、体組成を測定する機器などを導入しています。
それらの機器がより一般的なものではなく、より専門的な医療機器になっていっているクラブもあります。
より細かい体のデータを活用することで、利用者の健康状態を把握し、効果的な運動プログラムを提供するのに役立っています。
今後も、フィットネスクラブと医療の融合は、さらに進んでいくと考えられます。
街のフィットネスクラブのインストラクターの多くは、パート、アルバイトであり、トレーニングマシンの使い方を指導できるよう少し研修を受けただけの人がほとんです。
入会した人が自身の疾病や既往歴、手術の経験を話したところで、病名もその特徴も知らない人がほとんどです。
ですから、より専門知識のあるフィットネスクラブ、メディカルフィットネスは、真剣にリハビリしたいと考える方、なんとなくの運動ではなく明確な目標のある(何か月以内に血圧をどれだけ下げる)方にとっては非常にありがたい存在となってくれるはずです。
既に医師が常駐しているフィットネスクラブも存在していますが、医師が常駐していることが当たり前、診療や検診を受けることが出来る、薬の処方箋を出してもらえるという時代が当たり前になる時代が来るかもしれません。
今後は益々、超高齢化社会に入り、医療・介護における社会保障費膨張の問題などが逼迫している現在の日本において、最も大きなテーマになってくると言っても過言ではないと思います。
単にトレーニングマシンだけを置いている場所貸しフィットネスクラブの時代は終わりを告げ始めているのではないでしょうか。