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私は、フィットネスクラブ・スポーツ施設専門アドバイザーという仕事柄、様々なフィットネクラブ、スポーツジム、スポーツ施設に行き、情報収集を行っています。
そんな中、いつも気になることが、
『間違ったトレーニングをしている方が多い』
ということです。
もちろん何もやらないよりはマシなのですが、正しくトレーニングしないと思うような効果が表れず、結局、時間とお金を無駄にしてしまいます。
「やった感」さえあれば、それで良いという方もいらっしゃいますが、フィットネス業界全体のことを考えると、入会していただいた方には、トレーニングの効果を感じていただかないことには継続していただけませんし、
「フィットネクラブに行っても何も変わらない」
という負のレッテルを貼られてしまうことになります。
実際に何年も通っているが全く体形が変わらないという人の方が多いように感じます。
また、スタッフ不在のために清潔感に欠け
「フィットネクラブ=汚い」
というイメージを多くの方が持つことも危険です。
マイナスな情報の方が広まるのが速いですから、私たちフィットネス関係者は多くの方に「フィットネスクラブは絶対に行った方が良い」と思っていただけるようにする必要があります。
でなければ、フィットネス業界は衰退していきます。
いいえ、私個人的には、24時間フィットネスが乱立し、会費の低価格競争になってしまっている今、フィットネス業界は衰退していると感じています。
筋トレを我流で行うと
筋トレを我流で行うと、正しいフォームではないので効くべき筋肉に刺激が伝わらないため、単に疲れるだけで思ったような筋肥大等の効果を得ることができません。
また、行っているトレーニングはどこの筋肉を意識してすべきかを知らないでトレーニングを続けることは効果がないだけでなく、体を痛める可能性もあります。
コロナ以降、無人やスタッフがいる時間が少ないフィットネクラブが増えましたが、指導者が不在だと
効果がでない→楽しくない→退会する
という流れを作ることになります。
そもそも、誰からも声掛けされたくないという層も増えている気がしますが、それは皆が皆ではなくクラブの特徴として住み分けする必要があると思います。
今は、スタッフが常駐していても指導どころか、会員に対し、声掛けなども一切行わないクラブも増えています。
声掛けされたくない人は無人フィットネスに通い、コミュニケーションや指導を重視する人は有人で指導のあるフィットネスに通うというのが理想だと思います。
正しいフォームもそうですが、鍛える部位にも偏りがあり、結果、健康を損なうという場合もあります。
例えば、男性であればチェストプレスやベンチプレスといった胸、アームカールのような腕のトレーニングばかりに力を入れる傾向にあります。
上半身だけを鍛えて、下半身のトレーニングを行わないと全身の筋肉バランスが整わずに腰痛などの原因になります。
キツく感じるトレーニングをしないと効果がないと思い、トレーニング初心者にも関わらず、強度や頻度を誤り、いわゆる「やり過ぎ」による怪我や障害を引き起こす人も多いです。
見える場所だけを鍛えようとするのは悪いことではありませんが、長い目で見ると会員にもクラブ側にもあまりメリットがないと思います。
改めてパーソナルトレーニングに着目
パーソナルトレーニングジムという言葉も意味が変わってきています。
今までは個別指導をパーソナルトレーニングと言っていましたが、自分以外誰もいない個室のジムもパーソナルトレーニングジムと言っていますし、スタッフの手が空いている時は聞かれれば指導しますというセミパーソナルという言葉もできました。
パーソナルという言葉の意味合いが時代と共に変わってきていると感じます。
フィットネスクラブが利益を生むためには、会員数を増やすこと、客単価を上げること、退会を防ぐことです。
フィットネスクラブに通うことによって、自分の体が変わったり、健康になったり、スポーツパフォーマンスがアップするなどトレーニングの効果を感じることができた会員は退会することなく継続します。
そうなると、正しいトレーニング方法を伝え、トレーニングの効果を実感していただくことが、フィットネスクラブが最も重要視すべきことではないでしょうか。
動画を見ているだけでは、マシンのセットの仕方やフォームは分かりますが、力の伝え方や筋肉を意識する方法といった細かい点は、トレーニング初心者が学ぶことは非常に難しいです。
そのためには、運動生理学、解剖学、栄養学、トレーニング理論に詳しくコミュニケーション能力の高いスタッフを配置し、個別指導=パーソナルトレーニングに再度着目すべきではないでしょうか。
低価格の会費では、人件費を捻出することが難しいかもしれません。
でも、今のやり方で5年後、10年後も利益を生み続けることができるでしょうか。
フィットネス業界は、今が正念場でもあり、転換期でもあると感じます。
他クラブと同じことをしていては生き残ることができません。