今、時代はホスピタリティの時代と言っても過言ではありません。
様々な業種でホスピタリティの重要性が謳われています。
私が、ホスピタリティという言葉を初めて聞いたのは、今から約15年前です。
今では、日本全国に700店舗近く展開する、ある飲食店の社内式典に参加させていただいた時にこの言葉を聞きました。
一人の客としてそのお店に食事に通っているときには、その後、ここまで多くの店舗数を有する企業になるとは思いもしませんでした。
私が、社内式典に参加した時は、その飲食店は約300店舗を展開。
客としてお店に行っているときは、分かりませんでしたが、
社内式典に参加し、そのお店がお客様に対しても従業員に対しても、
ホスピタリティを非常に重視していることを知り、
「このお店は凄いことになるな」
と感じていました。
ホスピタリティの意味と起源
ホスピタリティを辞書で引くと、
「思いやり、やさしさ、おもてなし」
などと表記されています。
ホスピタリティ(hospitality)の語源は、ラテン語のホスペス (hospes)だそうです。
ホスピタリティの 原点である考え方が登場したのは、中世のヨーロッパ。
まだホテルがないこ時代にカトリックの巡礼者たちが、一般の家庭に泊まりながら巡礼を続けたことから端を発すると言われています。
「知らない人でも、よその街から来た人でも、親切にもてなし、家族と同 じように受け入れましょう」
という思いがホスピタリティの元になる考えです。
時代とともに求められるものが変化するフィットネスクラブ
ホテルや飲食店では、よくこの言葉が使われますが、今の時代、フィットネスクラブこそホスピタリティの時代と言えるのではないでしょうか?
フィットネスクラブは、施設やスタジオプログラムは、ほとんど差がつかなくなってきたました。
そんな中、会員様が求めるものは、
「快適さ」や「心の満足」
へと変わってきました。
フィットネスクラブ創成期は、ハード(施設)重視の時代であったと言えます。
フィットネスクラブが、成熟期に入ると、ソフト(体組成測定、スタジオプログラム、ダイエット食品、パーソナルトレーニング等のサービス)の時代であったと言えます。
ホスピタリティの観点から、お客様を見ると、
「顧客から個客への変化」
と考えています。
フィットネスクラブ飽和状態である今日は、まさにホスピタリティの時代と言えます。
提供されるサービスや施設、立地条件に変わりがないのであれば、
「その人それぞれの心の満足感・充足感」
です。
見学や体験に来られたお客様、会員様がトレーニングを終えて帰る際に
「ああ、来て良かったな」
と思ってくださるホスピタリティとは、どのようなものでしょう?
見学や体験の申込書には趣味や運動経験等を記載する欄があるフィットネスクラブもありますが、通り一遍な説明だけで、その人、一人一人に合ったクロージングが出来ているフィットネスクラブは非常に少ないです。
既に入会されている会員様に対しても同じことが言えます。
スタッフ一人一人が、会員様のニーズを把握することは難しいですが、無理なことではありません。
機械的なマシンの使い方の説明、うわべだけの挨拶や世間話…。
これでは、近くに新しいフィットネスクラブが出来れば、会員様は皆、そこに移っていきます。
フィットネスクラブとスタッフに必要なホスピタリティとは?
私が考える、フィットネスクラブのスタッフが行うべきホスピタリティとは、
「知識と知恵」
です。
フロントスタッフは、様々な情報を持った、セールストーク、クロージングテクニックに長けたスタッフが必要です。
マシンルームには、運動生理学、栄養学、病理学に長けた、お客様に既往歴やトレーニングの目的をしっかりと聞くことが出来るスタッフが必要です。
マシンスタッフは、会員様のトレーニング目的も聞かずに、マシンの負荷や回数を適当にアドバイスする人が多すぎます。
これでは結果が出ないので結局は会員様は継続してくださいません。
プールには、監視員としてのスタッフが配置されるのではなく、泳ぎ方やプールでのリハビリの方法の指導が出来るスタッフが必要です。
スタジオには、会員様を継続してレッスンに参加してもらいダイエット等のお客様が具体的に結果を実感することが出来るようリードすることが出来る実力のあるインストラクターが必要です。
そして全てのスタッフが清掃状況に常に意識が向いているスタッフでないといけません。
知識があることは当たり前で、その知識を知恵に変えて、お客様一人一人のニーズに合わせた接客がフィットネスクラブスタッフ、インストラクターに必要なホスピタリティです。
皆さんのフィットネスクラブのホスピタリティは何ですか?
お客様の満足度を上げるために、会社の利益を上げるためにはもちろん、フィットネスクラブという存在自体の価値を上げるためにも、フィットネスクラブで働く人の社会的地位を上げるためにもホスピタリティは必要です。