フィットネスクラブの離職率

フィットネスクラブの離職率について考えてみたいと思います。

今の時代は、何かとうるさくなっているので労働環境は以前よりかなり良くなっていると言えますが、それでも離職率が高いということは何か問題がある証拠です。

一般的な考察の前に私個人の経験と意見をお伝えいたします。

フリーのインストラクターとしては、複数のフィットネスクラブで働いていましたが、社員として働いていたのは2か所です。

2か所ともに退職して独立した理由は、社員でいることのメリットがなかったためです。

しかし、それ以外にも辞めた理由はたくさんあります。

一つ目の理由は、

「未来が明るくないこと」

です。

先輩達を見ていると、3年後、5年後にはこうなるんだろうな、とおおよその予測が立ちます。

先輩たちは、人としては、性格も良く好きな人たちでしたが、皆、夢もなく不平不満ばかりで生き生きと仕事をしていませんでした。

「ここにいてはいけない」

と感じました。

二つ目の理由は、

「いくら利益を上げても給料の上限が決まっている」

ということです。

会社の利益は自分一人で上げているものではなく、様々な人が関り、多くの従業員の力のお蔭で生み出すことは分かっていますが、

見学体験に来られたお客様の入会率やスタジオレッスンの参加者人数、担当するレッスンの種類や業務の数、新しい企画を上げて新たな収入のチャンネルを増やすなどをしても、

給料はほとんど上がることがあがりませんでした。

アルバイトのシフトを作ってマシンルームをうろうろしているだけの先輩の方が給料が良いことを知った時には愕然としました。

三つ目の理由は、

「人間不信」

です。

フィットネスクラブのインストラクターは、そんなに美男美女でなくて、もある程度モテます。

主婦の方の中には、無意識に昼間に行くホストクラブ的な感覚で来ている会員様もいらっしゃいます。

私はストーカー被害が酷くて、家などにも嫌がらせや不審なことが頻繁に起きる時期がありました。

常連の会員様と話すたびに顔では笑っていますが、「この前のおかしなことはあんたがやったのか?」と疑心暗鬼になっていました。

お客様にそんなことを思ってはいけないと考えると、罪悪感がどんどん強くなってきました。

四つ目の理由は、

「パワハラ」

です。

その当時は、セクハラという言葉はありましたが、パワハラという言葉はほとんど聞いたことがありませんでした。

私が力をつけたり、上司が気に食わないと担当業務を外されたり、役職を下げられたりしました。

こんな理不尽なことをされて会社にいるいみなどないと判断しました。

以上が私の経験と意見です。

それでは、一般的に離職率が高いフィットネスクラブにはどのような原因があるのかを考えてみたいと思います。

離職率を下げるためには、まず離職率が高くなる原因を把握することが必要です。

原因が分からなければ、改善策も見つかりません。

離職率が高くなる原因を洗い出し、自社にあてはまる要素がないかをチェックしてみてください。

フィットネスクラブ離職の理由は?

1、低賃金

労働量や成果に対して賃金が低いと仕事のモチベーションは下がります。

福利厚生が充実していないといったことも離職率が上がる理由になる場合もあります。 2、正当な評価がない

成果に対して、正当な評価を与えられていないと誰でもやる気をなくします。

それなりのポジションを与え、権限を持たせてあげることも非常に重要です。

残業代が出ない、ボーナスが出ない、といったことも当然、離職率が上がります。

3、休暇が取りにくい

週休が二日未満であったり、有給休暇が取りづらい、重要な場面で休むことができない場合、従業員は肉体的にも精神的にも大きなストレスを感じます。

これは、離職率があがるだけでなく、生産性を上げることも出来なくなります。

私もアルバイトが急に休むことになり、休日であるにも関わらず会社から呼び出されて勤務になるということが頻繁にありました。

4、労働時間が長い

そもそも、フィットネスクラブの営業時間は長いです。

スタッフの誰かが急に休むことになり、長期勤務を余儀なくされることがあってはいけません。

労働基準法に規定される時間を超える労働が当たり前となっている職場や、深夜残業や休日出勤をしなければ仕事が終わらないような職場は、当然離職率が高くなります。

5、教育やフォロー体制の不備

現場に出る前に十分な教育がされていなかったり、ミスをした際のフォロー体制が整っていなかったりすると、新人は仕事への自信をなくしてしまいます。

私が働いていた会社も何かミスがあると、責任のなすりつけ合いばかりで、とても見ていられませんでした。

「責任は俺が取る」

というテレビで見るようなカッコイイ上司は1人もいませんでした。

従業員がミスを怖がるとチャレンンジしなくなるので、こちらも生産性は上がりません。

何年か経ってミスをしなくなる頃には、従業員たちは離職していくことになります。

6、働き方の選択肢が少ない

フィットネスクラブでは、なかなか難しいかもしれませんが、テレワークでの勤務なども、アルバイトのシフトを作るだけやパーソナルトレーニングの個別アドバイス、会費管理の仕事なら自宅でも出来る可能性があります。

フレックスタイム制など、働く時間や場所を自由に選択できる企業を選ぶ人も増えています。

フィットネスクラブも働き方の改革をすべき時に来ています。

勤務時間、場所が決まっていると、ワークライフバランスを重視する人にとっては「働きにくい職場」と感じ離職率が上がる可能性もあります。

7、業務内容が不明確

私も「これフィットネスクラブでする仕事?」と疑問に感じる業務をたくさんさせられてきました。

運動指導の仕事をしたくて入社したのにプールの監視ばかり、プロテインやサプリメントのネット販売や発送準備、OEMで海外で作るサプリメントの検疫について走り回る…etc

と「こんなことしたくて来たんじゃないんだけどなあ」ということがよくありました。

入社前に想像していた職場と実際の職場でのギャップが大きいために離職する人も多いです。

入社前には業務内容の全てを明確にする必要があります。

8、ハラスメントの横行

今は何でもハラスメントと言われてしまうので、多くの企業が細心の注意を払っているとは思いますが、昭和生まれの上司達は時代についていけておらず、悪気なしにハラスメントをしてしまっていることが多いです。

パワーハラスメント、モラルハラスメント、セクシュアルハラスメント、スメルハラスメント、マタニティハラスメントなど様々なハラスメントを防ぐ必要があります。

9、理念・ビジョンがない

フィットネスクラブだけでなく、どんな企業でも、経営理念、未来の展望、使命感というものがないと人はついてきてくれません。

自分が在籍する会社は何を目指し、何処に向かっているのか?

その中で自分はどんなことが出来るのか?

どのような成長ができるのか?

これらが見えない会社では、いくらゆるくても気の合う同僚がいても長続きはしません。

志の高い良い人材程、早く離れていきます。

いかがでしょうか?

先ずは自社の問題点を見つけ出してください。

次回は、「それではどのように改善していくべきか」を考えてまいりたいと思います。