24時間フィットネスを経営することのデメリットと将来性

本日は、飽和状態にあり、価格競争が激化してしまった24時間フィットネスのデメリットと将来性について考えてみたいと思います。

24時間フィットネスのフランチャイズのデメリット

先ず、一番に考えることができるのは、運営コストです。

都心部ならともかく、準都心部や地方では、本当に24時間営業して利用者がいるのか経営者は把握しているのでしょうか?

把握していたとしてもFCでの24時間フィットネスでは、契約時に勝手に営業時間を変えることができないようになっていると思います。

それでは、実質的な運営コストには、どのようなものがあるでしょう?

・人件費

24時間営業するため、例え無人ジムであったとしても清掃スタッフや見学案内スタッフ、場合によってはセキュリティ要員が必要になるかもしれません。

・光熱費

24時間空調や照明を稼働させるため、水道や電気代、ガス代などの光熱費が高くなります。

・メンテナンス費

終日利用されるため、清掃や設備のメンテナンス頻度が高まり、費用がかさみます。

某有名24時間フィットネスは、ある年のエアコンの修理代が1億円かかったとのことです。

シャワー室のあるジムでは、水場の修繕費用は膨大な金額になる場合があります。

無人ジムの場合は、会員の使い方や清掃エチケットも乱雑になり、スタッフを雇用するよりもメンテンナンス費用がかかってしまうということも考えられます。

また、アルコール等のエチケット備品等の消耗により経費がかさむことになります。

・セキュリティ上の対策費

事件・事故のリスクを回避するために入退室の管理、防犯カメラ、緊急連絡体制の整備などにより、長時間営業すればするほど、費用がかかります。

無人ジムの場合は、ジム内だけでなく、ジムの外にも防犯カメラ等が必要になるかと思います。

・管理・運営の複雑化

入会、退会、月会費の管理にも費用がかかります。

特にWEB上で全て完了できるシステムを提供する場合には、システム購入費や使用料等が発生します。

・保険料

テナントを借りるためには、火災保険や地震等の災害保険に入る必要がある場合が多いです。

また、店舗内での事故やトラブルに対応した保険に入る必要もあります。

・フランチャイズのロイヤリティ

フランチャイズでの出店の場合、当然の事ながら売り上げの何%かを本部に支払う必要があります。

・テナントの家賃

フランチャイズビジネスの場合は、本部が支払ってくれる場合もありますが、テナントを賃貸する場合は、もちろん毎月の家賃が発生します。

運営コストの中で最も高額なのが地代ではないでしょうか。

上記の例は、ごく一部です。

サービスを増やせば当然、運営コストも多くなります。

24時間フィットネスの将来性

これだけ日本中に24時間フィットネスが増えた状態で価格競争に入った今、将来性が高いとは言い難いです。

どこも似たようなトレーニングマシン、ハードだけで勝負してきた状態でユーザーは、各ジムの違いを分かっている人の方が少ないです。

差別化戦略とニッチ市場の開拓なくして、24時間フィットネスに未来はありません。

既に「24時間使える」ということは当たり前の時代になりました。

入会金や入会手数料、1か月目の会費を無料にすることもどこも当たり前にしているサービスです。

これでは、自宅から近い、職場から近い、何らかの理由で通いやすいという立地と会費の安さだけで選ばれることになります。

これからの24時間フィットネスは、特定のターゲット層(例:シニア層、アスリート、忙しいビジネスパーソン)に特化したプログラムや設備、サービスを提供することで、競争優位性を確立する必要があります。

単なるトレーニングの場ではなく、会員同士の交流や一体感を育むコミュニティを形成することで、顧客単価をアップさせ、退会率を減らす努力にも工夫が必要になります。

そもそも、無人のジムで、トレーニングマシンの使い方の分からない人がトレーニングをしてもなかなか効果は表れません。

効果がなければ面白いとも楽しいとも感じませんので、全くの無人フィットネスは、今後は淘汰されることが予測できます。

AIやIOTの導入により、予約システムやトレーニング指導や栄養指導、モチベーション維持のためのコンテンツを提供することも頭打ちになっていると考えます。

24時間フィットネスは、価格競争からの脱却と高い付加価値を会員に与えることができなければ、将来性を見込むことはできません。

これはあくまでも私個人の意見になります。

ひょっとすると市場は、今の無人の24時間フィットネスの形が良いと思っている層の方が多いのかもしれません。

でも、もしそうならフィットネクラブの社会的価値、インストラクターの職業的価値が上がることはないと思います。

24時間フィットネスで、見学案内しているスタッフとパーソナルトレーニングジムでトレーナーをしている人は、傍から見ていると違いは分からず、同じフィットネスインストラクターに見えていると思います。

私たちフィットネス業界に携わる者は、フィットネクラブの社会的価値を上げ、そこに働くスタッフ、トレーナー、インストラクターたちの職業的価値を上げることを意識する必要があると思います。

24時間フィットネスのフランチャイズ市場は、成熟期に入り、以前のような爆発的な成長は見込めないと思います。

それでも24時間フィットネスを出店するのであれば、単に24時間営業であるというだけでなく

「なぜそのジムを選ぶのか」

という明確な理由を伝えることができるかどうかにかかっていると思います。

24時間フィットネス出店は慎重にご検討ください。